歴史は繰り返す、では人類の方向性は？(97.10)

「核、平和と戦争、未来について」を 97.08.15 に載せ、 その中で歴史は繰り返すと述べました。全くの繰り返しなのでしょうか？ 人類はやはりある方向に歴史を刻んでいるのではないでしょうか？その方向とはどこだろうか、 と考えてみました。

（いろいろな御意見があろうかと思います。その御意見をお聴かせい ただけましたら幸甚です。e-mail address: iyamato@rs.noda.tus.ac.jp）

形而下（物質的）の方向性
　「核、平和と戦争、未来について」で、人も歴史も物により規定 されている（唯物史観）と考えると述べました。その通りだと思います。そして、その方向性 が生産手段の拡大、分かり易く言えば人一人当たりの活動範囲の拡大と捉えられると述べました。 近い将来には，”地球国”を飛び出して、宇宙を飛び回るようになるのでしょう。でも、それ だけなのでしょうか。形而上のすべても形而下の状況により規定されていると考えられる以上、 これだけで必要十分だとも思います。その時、形而上に属する精神世界はどの様な展開をして きて、していくと予想されるのでしょう。

形而上（精神的）の方向性
　人の精神世界の発展・歴史についてはほとんど考えたことも勉強したこともありません。ふと、今 気になったので、刹那的・個人的な感覚（論理的な思考に基づいていません）を述べます。97.10.14 現在、未だ内容も初歩的な段階ですが、これらのことも少しずつ勉強して、そのうち充実させていき たいと思います。諸先達からのご教示をお待ちしております。

　端的には、人の精神世界の発展は形而下の事象からの解放の方向だと捉えられないでしょうか。

1. まず、動物として、物質＝精神の時代
   物質的欲求に従う活動のみからなっていた。チンパンジーなどの比較行動学から推察するに、 いくらかの「遊び」を持っていたかもしれない。その意味で、全く物質＝精神では なかったかもしれない。
2. 文字もない時代の、おまじないの時代
   精神を司る部分がいくらか存在するとしても、物質的要請から生じた必要性に従属 した形でしか存在していなかった。（本当にそうかしら？）
3. 呪術やその発展としての宗教の時代
   物の発達により、人に余分の時間が生まれ、物質的要求から解き放たれた精神活動をする ことができるようになった。しかし、その精神活動が、人以外の存在、つまりは「神」によ り縛られていた。
4. イデオロギーの時代
   より精神活動が解放された点として、ニーチェの言葉「神は死んだ」に如実に現れているように、 人以外の存在（神）からの解放が認められる。つまり、精神世界を人に取り戻せたと考え られる。同様な象徴的な言葉は、マルクスの「宗教は麻薬である」ではなかろうか。
5. 未来は？
   そして、これからは、各個人の精神世界を「一般の人（イデオロギーなど）」からも解き放ち、 最後は各個々人に取り戻すことになるのではないか。現代において、哲学も不人気なのは、ある 類型としての思想に満足できなくなってきた（または、必要なくなってきた）からではないだ ろうか。上のニーチェやマルクス流の言い方をすれば、「イデオロギーも死んだ」「思想も麻 薬である」とでもなろうか。その様な状況になりつつあることは、現代の冷戦の終了と それに続く共産圏の開放の動きを見れば明らかであろう。その様な時代の精神世界や文化がど の様な花を咲かせるのか、大変楽しみである。これからその精神世界を個々人に取り戻した状 況を表すスローガンになる言葉も出現してくると期待している。

地球・人類の次の方向性について、平成１０年１２月３０日読売新聞朝刊一面の「地球を読む」 に賛同(1999.1.6)

アルビン＆ハイディ・トフラーのインターネットによる「家族再生を促す力」が載っていた。 彼らは、農業主体の大家族的な「第一の波」諸国、工業化による核家族的な「第二の波」の工業経済、 そして今アメリカでは「第三の波」家族が現れているという。（「波」の対応がうまくいっていない が、内容は一応わかる。家族体制についての「波」のつもりであろう。）そして、家庭にいて参加 でき、それぞれ多様化した要求に対応できるシステムをインターネットが作り出しつつあることを 主張している。教育、医療、電子商取引など、多元的な場を提供する能力もあるし、そうなりつつ ある。私もインターネットのそういった可能性を大いに期待している。そして、そのおかげで＜家 族＞がもう一度中心になるはずであるとする彼らの主張は、正しくかつ望ましいように感じる。 ヨーロッパでは通貨がユーロに統一される。２０世紀のこの転換点を、地球・人類の転換点に繋げ たいと願う。

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